中学受験に必要な算数の基本テクニックを紹介しています。中学受験算数の独特な解法は、小学校では教わらない「裏技」的なものが多いので注意が必要です。
例題を使って、コツやポイントを押さえながら、なるべく丁寧な解説を心がけました。皆さまの理解の手助けとなれば嬉しいです。

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場合の数③ 組合せ

順列と組合せ

実は、ここまで学習してきた場合の数は、全て「順列」と呼ばれるものでした。このページでは「組合せ」について学習していきます。
では、順列と組合せはどこが違うのでしょう。
その違いは一言で言うならば、順番を気にするかしないかです。 ○ケタの整数やリレーの順番など、順序を気にするものを順列、グループ分けやペア作りなど、順番は関係ないものを組合せといいます。
次の例題を解きながら、違いを見てみましょう。

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(例題1)

平沢、秋山、田井中(たいなか)、琴吹(ことぶき)、中野の5人の部員がいるとき、次の問に答えましょう。


(1)部長と副部長をそれぞれ1人ずつ選ぶとき、選び方は何通りあるでしょう。

(2)カメの世話係を2人選ぶとき、選び方は何通りあるでしょう。

(1)部長と副部長をそれぞれ1人ずつ選ぶとき、選び方は何通りあるでしょう。

説明のため、計算ではなく、樹形図を書いて解いていきます。

樹形図より20通りであるとわかります。計算で解くならば、

5通り×4通り=20通り

よって答えは

20通り

(2)カメの世話係を2人選ぶとき、選び方は何通りあるでしょう。

こちらも樹形樹を書いてみますが、「あれ、(1)の問題と同じじゃない?」と思うでしょう。実際には、今から書く樹形図は間違っています。が、説明のために書かせてください。

上の樹形樹の赤い四角の部分に注目してください。
先ほどの問題では、部長と副部長を選んでいたので、「部長が平沢で、副部長は秋山」と「部長が秋山で、副部長が平沢」は別の物として、2通りと数えました。 しかし、今回はカメの世話係を2人選ぶので、「平沢と秋山」と「秋山と平沢」は同じものです。1通りです。 緑の四角の部分の、「平沢、田井中」ペアも同じように考えられます。
つまり、今回書いた樹形図には、書かなくてよい部分を書いてしまっているのです。それでは、余分なものを省いた正しい樹形図を書いてみます。

ということで、答えは10通りになります。では、計算で求める方法も考えておきましょう。
組合せを計算で求めるときは、まずは順列を求めて、そのあとでダブって数えてしまってる分をわり算する流れで求めていきます
今回の問題の場合、順列を求めると、

5通り×4通り=20通り

で、20通りでした。 そして、「平沢と秋山」と「秋山と平沢」は同じものだし、「平沢と田井中」と「田井中と平沢」は同じものだし、「平沢と琴吹」と「琴吹と平沢」は同じも(以下略)と、すべてのペアで2回ずつ数えてしまっているので、

20通り÷2=10通り

よって答えは

10通り

樹形図で、「順番が入れ替わったら違うものになっちゃうよ!」ってなるのが順列、「順番入れ替えても一緒じゃね?」ってなるのが組み合わせです。
組合せの樹形図はちょっとコツがいるので、人が書いたものをながめるだけではなく、必ず自分で書いて練習してください。
組合せの場合は100通りや1000通りなど、大きな数になることは少ないので、樹形図で解けるものが多いですが、計算で求められるようにしておいた方が良いです。どんな問題にも対応できるように。

(例題2)

メンバーが5人のアイドルグループを、3人のチームと2人のチームに分けます。 分け方は何通りあるでしょう。

まずは樹形図を使って解いていこうと思うのですが、5人に名前がついていないので、名前をつけておきます。 今回は、大野、櫻井(さくらい)、相葉(あいば)、二宮(にのみや)、松本としておきます。(好きな名前をつけて大丈夫ですが、樹形図を書く時に面倒なので、画数の少ないものをおすすめします。a、b、c、d、eが一番おすすめ。)
問題では、「3人のチームと2人のチームに分ける」と書いてありますが、3人のチームが決まれば、2人のチームの方は勝手に決まるので、3人のチームの方しか考えません。 例えば、3人のチームが「大野、櫻井、相葉」に決まれば、2人のチームの方は勝手に「二宮、松本」に決定するので、考える必要がないのです。
ということで、3人のチームの方だけ樹形図を書いていきます。

ということで10通りです。計算で求める方法も解説しておきます。
順列として考えるならば、

5通り×4通り×3通り=60通り

と、なります。今回は組合せを求めるので、ダブった分わり算をしなくてはなりません。では、どれだけダブって数えているでしょう。
例えば「大野、櫻井、相葉」の3人を選んだ場合、この3人を並べ替えた形は、「大野、櫻井、相葉」「大野、相葉、櫻井」「櫻井、大野、相葉」「櫻井、相葉、大野」「相葉、大野、櫻井」「相葉、櫻井、大野」の6通りあります。 これを計算で求めるならば、

3通り×2通り=6通り

です。順列ならこれらは6通りと数えるのですが、組合せの場合はどれも同じものですので、1通りと数えます。どの組合せにおいても、すべて6回ずつダブって数えてしまっているので、

60通り÷6=10通り

よって答えは

10通り

ここまで解説しておいて「なんでねん。」って突っ込まれることを言いますが、実はこの例題2の問題は、3人のグループを考えるより、2人のグループを考えたほうが楽です(サボれます)。
2人のグループが決まれば、3人のグループは勝手に決まりますので。樹形図も計算も、2人のグループを考えたほうがずっと楽だし、ミスもしにくいです。
3人の場合はどう考えればいいのかを解説したかった私のワガママでこっちで解説しましたすみません。

全部で○個になる組合せの求め方

主に果物を使って出題されます。3種類以上の果物が登場して、「全部で○個選びます。何通りの選び方があるでしょう。ただし、選ばないものがあってもよい。」みたいな形で出題されます。
「選ばないものがあってもよい」系の問題は、計算で求めるよりも、表を書いて求めた方が早いことが多いです。

(例題3)

桃とスイカと梨を、全部で3個買います。1つも選ばないものがあってもよいとすると、全部で何通りの選び方があるでしょう。

それでは、さっそく表を書いてみます。

よって答えは

10通り

果物の季節がバラバラ(´・ω・`)。自分の好きな果物を並べたらこうなりました。なお、一番好きなのはスイカです。
他の人が書いているのを見ていると、「なんだ簡単じゃん!」と思えても、自分で書いてみると結構書き忘れがあるので、しっかりと自分で表を書く練習をしてください。
それでは、組合せの場合の数をまとめます。

まとめ

組合せの場合の数を求めるときは

  1. 「樹形図の順番を変えても同じじゃん。」と思ったら組合せ。
  2. 樹形図を書くときに、同じ組合せを書かないようにして、だんだんと枝分かれが減っていくような樹形図を書く。
  3. 計算で求めるときは、まずは順列を求めてから、ダブって数えてしまっている分をわり算する。
  4. 1つも選ばなくてもよいものがあるときは、表を書いて考えると良い。

次は、「図形問題と見せかけて実は場合の数!」な問題を考えます。

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