中学受験に必要な算数の基本テクニックを紹介しています。中学受験算数の独特な解法は、小学校では教わらない「裏技」的なものが多いので注意が必要です。
例題を使って、コツやポイントを押さえながら、なるべく丁寧な解説を心がけました。皆さまの理解の手助けとなれば嬉しいです。

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倍数算の解き方

倍数算とは

倍数算とは、数量の変化によって比や割合が変わる状況で、もとにする量などを求めていく問題です。 「はじめはa:bでしたが、○円使ったらc:dになりました。」のような問題が出題されます。 主な出題パターンは3種類です。

  1. はじめの数量の差がわかっている
  2. はじめの数量の差がわからず、長さの変わらない線分図がある
  3. はじめの数量の差がわからず、すべての線分図の長さが変わる
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倍数算の解き方

割合の計算問題が当然のように出てくるので、不安な人は復習してから取り組みましょう。(割合についてはこちら
基本的には線分図を書いて考えます。線分図をしっかりと書けるようにしておいてください。(線分図についてはこちら
もとの量にあたる、①がいくつなのかを出していきます。相当算の考え方ですので、相当算もチェックしておいてください。(相当算の解き方はこちら
あれもこれもと書いていますが、つまりそういうことです。いろいろな考え方を合わせて使うということです。 どうしても理解できなければ、もう一度復習してきてから挑戦してみるのもいいと思います。
倍数算の線分図を書く時のコツは、比の数字を○や□や△で囲って、いろいろな比が混ざらないようにすることです。
それでは、それぞれの出題パターンを例題を解きながら解説していきます。

倍数算① はじめの数量の差がわかっている倍数算の解き方

倍数算ではじめの数量の差がわかっているときは、線分図がしっかりと書けていれば簡単に解けると思います。 線分図を書いて、見比べて、①にあたる数量を求めていけばよいです。 ほとんど相当算の考え方で解けるので、「これは相当算です。」と言ってしまう人もいます。 線分図を書く練習をするつもりで、あまり構えずに取り組みましょう。

(例題1)穂乃果(ほのか)さんは海未(うみ)さんよりも1200円多くお金を持っています。 穂乃果さんが800円のおこづかいをもらうと、穂乃果さんと海未さんの所持金のは7:2になりました。穂乃果さんの最初の所持金はいくらでしょうか。

何はともあれ、状況を線分図に書いてみます。

今回は比が「7:2」の1組しか出てきませんが、線分図には⑦と②と書きました。比はかならず○や□で囲うと決めてしまうと、間違いが少なくなります。 それでは、線分図を見比べます。比も数量も両方ともわかる場所を探してみましょう

青い矢印の部分を見比べると、

金額
1200円+800円=2000円


⑦-②=⑤

これで⑤が2000円にあたることがわかったので、

2000円÷⑤=400円

よって、①が400円にあたります。穂乃果さんの最初の所持金を求めるのですが、これは穂乃果さんの線分図から考えても大丈夫ですし、海未さんの線分図から考えても大丈夫です。 わかりやすい方で考えてください。

穂乃果さんの線分図に注目すると。
穂乃果さんの最初の所持金は⑦より800円短いので、
400円×⑦-800円=2000円

海未さん線分図に注目すると。
海未さんの所持金は②で、穂乃果さんはこれよりも1200円多く持っていたので、
400円×②+1200円=2000円

よって答えは

2000円

線分図を書いて、見比べるだけです。どこに注目すればよいのか、ここでしっかり練習しておくと、この後の問題が楽ですよ! この他にも、「はじめに同じ金額を持っていました」系の問題がありますが、この場合も同じパターンで解けます。

また、、「同じ金額だけもらいました」系や、「同じ金額だけ使いました」系の問題もありますが、この場合は増えたぶんやへったぶんを線分図の左側に書くと見やすいです。 次の例題で試しに書いてみましょう。

(例題2)小鞠(こまり)さんは60円、夏海(なつみ)さんは40円持っています。 駄菓子屋さんでふたりとも同じものを買ったら、小鞠さんと夏海さんの所持金の比は5:3になりました。 駄菓子屋さんで買ったものをいくらだったでしょうか。また、買い物をしたあとのふたりの所持金は、それぞれいくらでしょう。

何はともあれ線分図を書きます。同じ金額を使ったので、使ったぶんを線分図の左側に書きます。

線分図を見比べて、比と金額の両方がわかる部分を探します。

青い矢印の部分を見比べると、

金額
60円-40円=20円


⑤-③=②

これで②が20円にあたることがわかったので、

20円÷②=10円

よって、①が10円にあたります。線分図を見ると、駄菓子を買ったあとの所持金は、小鞠さんが⑤、夏海さんが③なので、

小鞠
10円×⑤=50円

夏海
10円×③=30円

小鞠さんははじめ60円持っていたので、駄菓子の値段は、

60円-50円=10円

よって答えは

駄菓子・・・10円

今の所持金:小鞠さん・・・50円、夏海さん・・・30円

10円と言えばうまいあの棒。めんたい味が一番好きです。むらさきのやつ。
「線分図を書いて、見比べて、①にあたる数量を求める」の手順は完全に相当算です。線分図の書き方がちょっとだけ難しくなったかもという感じです。 それでは、はじめの数量の差がわかっている倍数算をまとめます。

まとめ

はじめの数量の差がわかっている倍数算を解く時は

  1. 線分図を書く。
  2. 同じ数量増えたりへったりする場合は、左側を増やしたりへらしたりすると見やすい。
  3. 線分図を見て、数量と比の両方がわかる部分を探す。
  4. ①にあたる数量を求める。
  5. 線分図を見ながら、それぞれの数量を求める。

今回はどちらの例題もお金関係になってしましました。倍数算の問題はお金の話が多いです。
続いて、はじめの数量の差がわからず、長さの変わらない線分図がある場合の倍数算を解いてみます。

倍数算② はじめの数量の差がわからず、長さの変わらない線分図がある倍数算の解き方

はじめの状態も比で書いてある場合、先ほどの倍数算よりも少し工夫が必要になります。 それでも、長さの変わらない線分図があるようならば、連比の考え方を理解していれば簡単に理解できると思います。(連比についてはこちら

(例題3)律(りつ)さんが持っているCDの枚数と、澪(みお)さんが持っているCDの枚数の比は3:2です。 律さんがさらに10枚CDを買ったら、ふたりが持っているCDの枚数の比は5:3になりました。ふたりははじめ、CDをそれぞれ何枚もっていたでしょう。

何はともあれ、状況を線分図に書いてみます。比が「3:2」と「5:3」の2組出てきたので、○と□を使って書き分けます。

澪さんの線分図に注目してください。同じ長さなのに②と3で、数字が違っています。 このままでは○と□は、足し算や引き算ができません。なので、この部分を同じ数字にするために、○は3倍、□は2倍してみます。

○を3倍、□を2倍して

これで、○も□も、澪さんの線分図の部分が6になりました。 この状態になれば、○と□は足し算や引き算をしても大丈夫です。それではさっそく線分図を見比べてみましょう。割合とCDの枚数の両方ともがわかる部分を探します。

緑の矢印の部分を見比べると、

CDの枚数
10枚


10-⑨=①

よって、①が10枚にあたります。 数字をそろえた方の線分図を見てみると、はじめに持っていたCDの枚数は、律さんが⑨、澪さんが⑥なので、


10枚×⑨=90枚


10枚×⑥=60枚

よって答えは

律・・・90枚、澪・・・60枚

このように、「同じ長さの線分図の部分を、同じ数に合わせる」テクニックは、これからも何度も出ます。 特に図形の問題でよく使われるテクニックですので、できるようにしておきましょう。 それでは、はじめの数量の差がわからず、長さの変わらない線分図がある倍数算をまとめます。

まとめ

はじめの数量の差がわからず、長さの変わらない線分図がある倍数算を解く時は

  1. 線分図を書く。
  2. 同じ長さの線分図の部分の比の数字を、最小公倍数でそろえる。
  3. 線分図を見て、数量と比の両方がわかる部分を探す。
  4. ①にあたる数量を求める。
  5. 数字をそろえた方の線分図を見ながら、それぞれの数量を求める。

次は、はじめの数量の差がわからず、すべての線分図の長さが変わるを考えます。

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倍数算③ はじめの数量の差がわからず、すべての線分図の長さが変わる倍数算の解き方

はじめの数量の差がわからず、全ての線分図の長さが変わる倍数算は、線分図の扱い方が独特なものになります。 線分図を伸ばして、比の○や□にあたる部分を同じ長さにそろえていきます。 言葉で説明しても、何のことだかサッパリわからないと思うので、例題で解説をしていきます。
線分図の書き方も少し複雑になりますし、考える事も多くなりますので、ここまでの倍数算をしっかりと理解してから挑戦してください!

(例題4)ある水族館の、午前中のこどもの入場者数とおとなの入場者数の比が3:2でした。 午後からさらに、こどもが400人、おとなが200人入場したら、1日の入場者数の比は8:5になりました。 こどもとおとなの、1日の入場者数はそれぞれ何人でしょう。

何はともあれ、状況を線分図に書いてみます。比が「3:2」と「8:5」の2組出てきたので、○と□を使って書き分けます。

少し線分図が複雑になりました。はじめは3:2で、こどもが400人増えて、おとなが200人増えて、8:5になったのが見えますでしょうか? 線分図が書けたので、比も人数も両方ともわかる部分を探すのですが、どちらの線分図も長さが変わってしまっているので、この状態ではどこにもそんな場所は見つかりません。なので、ここで一工夫です。
こどもの線分図を2倍に伸ばし、おとなの線分図を3倍に伸ばし、どちらの線分図にも⑥が出るようにします。 さっそく伸ばしてみるのですが、スペースの都合上、本当に3倍や2倍に伸ばすことができません。そこは勘弁してください。

こどもの線分図を2倍、大人の線分図をを3倍に伸ばして

伸ばした線分図を書いたら、線分図を見比べて、比も人数も両方ともわかる部分を探します。

緑の矢印の部分を見比べると、

人数
800人-600人=200人


16151

よって、1が200人にあたります

伸ばす前の線分図を見てみると、1日の入場者数は、こどもが8、おとなが5なので、

こども
200人×8=1600人

おとな
200人×5=1000人

よって答えは

こども・・・1600人、おとな・・・1000人

水族館といえばペンギンですね!
伸ばした線分図を書くのが、最初は難しいかもしれません。いくつも書いて練習してください。はじめは他の人が書いているのを書き写しながら、自分ひとりで書けるようになるまで、何度も同じ線分図を書いてみましょう。 今回の例題では、○の数字を最小公倍数の6で合わせて1にあたる人数を求めましたが、□の方を最小公倍数で合わせて①にあたる人数を求めても大丈夫です。 自分がやりやすい方で考えてください。

(例題5)未来(みく)さんと蓮(れん)くんがもらったお年玉の金額の比は5:4でした。 未来さんはさらに親戚のおばさんから4000円もらい、蓮くんは新しいゲームを4000円で買ったら、金額の比は2:1になりました。 ふたりがもらったお年玉は、それぞれいくらでしょう。

何はともあれ、状況を線分図に書いてみます。比は、○と□を使って書き分けます。

はじめは5:4で、未来さんが4000円増えて、蓮くんが4000円へって、2:1になったのが見えますでしょうか? 今度は□の数字を合わせます。□を最小公倍数の2で合わせるので、蓮くんの線分図だけ2倍に伸ばします

蓮くんの線分図を2倍に伸ばして

伸ばした線分図を書いたら、線分図を見比べて、比も金額も両方ともわかる部分を探します。

緑の矢印の部分を見比べると、

金額
4000円+8000円=12000円


⑧-⑤=③

よって、③が12000円にあたるので、

12000円÷③=4000円

これで、①が4000円にあたることがわかりました。 伸ばす前の線分図を見てみると、未来さんがもらったお年玉は、はじめの⑤と、おばさんにもらった4000円なので、

4000円×⑤+4000円=24000円

蓮くんがもらったお年玉は④なので、

4000円×④=16000円

よって答えは

未来さん…24000円、蓮くん…16000円

このように、増えたりへったりが混ざっていても求められます。一度線分図の書き方さえマスターしてしまえば、あとは自由自在です。 ちょっと流れが複雑ですが、頑張ってマスターしてください!それでは、はじめの数量の差がわからず、すべての線分図の長さが変わる倍数算をまとめます。

まとめ

はじめの数量の差がわからず、すべての線分図の長さが変わる倍数算を解く時は

  1. 線分図を書く。
  2. ○、□、どちらでもよいので、最小公倍数でそろえて、同じ数字になるように線分図を伸ばす。
  3. 線分図を見て、数量と比の両方がわかる部分を探す。
  4. ①、または1にあたる数量を求める。
  5. 伸ばす前の線分図を見ながら、それぞれの数量を求める。

ここまでで線分図を使って解く問題は終わりです。続いては、面積図を使って解く問題を解説していきます。

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