ブラック企業でブラックバイト塾講師を雇ってた話
ブラックバイトをしているみなさん、早速ですが転アルバイト活動を始めましょう。
念の為説明をします。「転職」という言葉はあるのですが、アルバイトの職場を変えるという言葉がなかったので「転アルバイト」と書きました。
私は37歳の時にブラック企業の学習塾から転職しました。転職先も学習塾です。
その結果、年収は100万円近くアップしましたし、年間休日は60日くらい増えました。控えめに言って、人生が変わりました。
仕事というのは、職場環境で大きく変わります。転アルバイトをすることで、あなたの人生は大きく変わるかもしれません。少なくとも、ブラック企業に搾取され続けてはいけません。勇気を持って一歩踏み出してください。
私は長い間塾業界で働きましたので、この記事ではその経験を基に、塾講師のブラックバイトをしている方々に向けて書いていきます。ですが、塾講師以外のアルバイトの方にも参考にしていただけると思います。
記事の前半では、私がブラック企業の個人指導塾で教室長として働いていた時に、ブラックバイト塾講師を雇っていた話をします。前半を読んでいただけると、自分が今働いている職場がブラックかどうかを判断してもらえます。
記事の後半では、実際に転アルバイトをするとなると出てくる心配事について解説します。最後まで読んでいただくと、心配事が解消され、心置きなく転アルバイト活動の一歩を踏み出してもらえるはずです。
ぜひ、最後までお付き合いください。
この記事がきっかけで、あなたが良いアルバイト先に転アルバイトするきっかけとなれば、私はとても嬉しいです。
ブラックかどうかを見極めよう
高校生や大学生ではまだ経験が浅く、自分のアルバイト先がブラックかどうか判断できないかもしれません。
そこで、私が教室長をしていた塾で雇っていたアルバイトのことを書いていきます。そこのアルバイトは完全にブラックでした。
雇われ教室長の私にできることは少なく、今でも「なんとかしてあげられなかったか」と考えます。その後悔もあり、今回はこの記事を書いています。
ポイントを6つにまとめました。
一つずつ解説していきます。
1,時給が安い
給料は、1コマ90分で1600円でした。単純計算すると、時給1067円です。そんなに安くないと思いましたか?
地域にもよりますが、塾講師で90分1600円はかなり安いです。私がアルバイトとして塾講師をしていたときは、個別指導で1コマ60分1600円でした。集団授業はもっと高かったです。さらに、ポイントは「90分1600円」ではなく、「1コマ1600円」であることです。
2,コマ給のため、授業に付随する業務にお金は出ない
塾講師のアルバイトは、「時給」ではなく「コマ給」とされることが多いです。「コマ給」の場合は、授業前後に必要な業務については給料が支払われません。
例えば、授業の前には授業準備が必要になります。前回は何を教えていて、どこに問題点があって、どこが宿題に出ているのかをチェックします。
そして、今回の授業はどこからどこまでを取り扱って、何をどのように教え、どこを宿題に出すかを計画します。授業準備にはかなりの時間がかかります。
私が働いていたブラック塾では、授業の1時間前には出勤してもらっていました。
更に、授業後には報告業務が課せられます。次に担当する講師のために、報告書を作成します。どんな授業をやって、どこが問題点で、どこを宿題に出したかを記載していきます。
報告書ができたら、教室長に授業の様子を口頭で報告します。私が働いていたブラック塾は個別指導でしたので、生徒一人ひとりについての報告が必要でした。これはだいたい40分から1時間程度かかりました。
例えばその日は2コマの授業を担当したとして、準備に1時間、報告に1時間かかったとすると、時給は「1600円×2コマ÷5時間=640円」です。時給640円です。すごくないですか?
私の雇い主にはなんとかならないか何度もお願いしましたが、返ってくる答えは「時給にしてしまうと、準備や報告にダラダラと時間をかけるやつが出てくるからダメだ。」というものでした。うちのアルバイトはみんな素晴らしい人たちで、そんな適当な人は一人もいませんでした(怒)!
アルバイトのコマ給を上げてほしいとお願いすると、半年後くらいに200円アップしました。2年間も働いてもらって200円です。
タダ働きはしてはいけない
アルバイトというのは、自分の貴重な時間を売ってお金にしています。お金が支払わないのであれば、働くべきではありません。タダで自分の時間を売ってはいけないのです。
先ほどの事例はは少し極端ですが、拘束時間に対してお金が支払われないのであれば、それはブラックバイトです。
「始業30分前には出勤しろ。社会人の常識だ。」、「研修は教えてやってるんだから給料は出ない。」、「おまえはまだ仕事が遅いから、終わるまでは帰るな(給料は出ない)」。どの理屈も通りません。
最低賃金という決まりがある
企業が労働力を搾取できないよう、最低賃金というものが法律で決められています。都道府県によって違うのですが、それよりも安い給料で人を雇うことはできません。
2021年6月の時点では、東京が1013円、神奈川が1012円、千葉が925円、埼玉が928円、大阪が964円、愛知が924円です。
「うちはコマ給だから」という理屈も、当然通りません。自分の実質時給を計算してみて、最低賃金を下回るようであれば違法です。その場合は明確にブラックバイトです。
3,休憩時間はない
長時間の勤務をさせるときは、従業員に休憩を取らせなければならないという決まりがあります。6時間以上の勤務で45分の休憩、8時間以上の勤務で1時間の休憩を与えなければなりません。
塾の場合は、夏期講習や冬期講習の時期に長時間勤務となることが多いのですが、休憩時間を設定しない場合も多いです。
また、1日8時間以上働かせる場合は、基本時給の1.25倍の賃金を支払わなければなりません。夜22時以降の働かせる場合も、基本時給の1.25倍の賃金を支払わなければなりません。
ブラックバイトは、休憩時間も割増賃金も与えられないことが多いです。
4,研修会や勉強会は時給730円
私が働いていたブラック塾では、研修会や勉強会の場合は時給730円という謎ルールがありました。当然、これは最低賃金を下回っているので違法です。
「教えてあげてるんだから、給料払ってやるだけでも感謝してほしい。」という理屈は当然通りません。
業務命令でアルバイトの時間を拘束する以上、正規の給料が支払わなければなりません。
5,勤務日数が多い
私が働いていたブラック塾は、常にアルバイト不足でした。時給が安いので、求人を出しても応募はありません。
常に人手不足なので、アルバイト1人当たりの負担が大きくなります。そのため、出勤日数が多くなりがちでした。週4日や週5日来てもらわないと、授業を回せないのです。
6,休めない
慢性的に人手不足なので、休みを取ることが難しいです。急用ができたときも、代わりを頼む講師がいないのです。大学のテスト前にも休みを取らせてもらえないこともあります。
高いお金を払って大学に行き、安い給料をもらうためにアルバイトに行って、その結果、学業がおろそかになってしまっては大問題です。
やる気を搾取されてはいけない
塾の仕事はやりがいがあります。子どもたちの勉強を見ながら、子どもたちの成長に大きく関われます。そして、努力の末に生徒が志望校に合格した日には、それはもう涙が出るほど嬉しいものです。
ですから、夏期講習中に馬車馬のように働かされても、給料が異常に安くても、勤務日数が多すぎて学業がおろそかになってしまっても、我慢して働いてしまうのです。
やりがいがあるから、無理を言われても生徒のために頑張ってしまう。ですから、ブラック企業はそういった良い先生のやる気を搾取して儲けを得るのです。
あなたのその「生徒たちを大切に思う気持ち」や「教育にかける情熱」を捧げる場所は、ブラック企業ではありません。健全な職場で、健全な形で捧げるべきです。適切な場所を探すべきです。
転アルバイトは消極的な「逃げ」ではありません。適切な場所を探すための積極的な「攻め」です。
ここまで読んで、「今のアルバイトはブラックだった!」と思ったら、今すぐ転アルバイト活動を始めるべきです。まずは求人を探して、近くに自分のためになるアルバイトがないか探してください。
今の仕事を投げ出して本当に良いのか
責任感の強いあなたは、もしかしたら「途中で仕事を投げ出してしまって良いのだろうか。」と、思ってしまっているかもしれません。
あなたのその「生徒たちを大切に思う気持ち」や「教育にかける情熱」を捧げる場所は、ブラック企業ではありません。健全な職場で、健全な形で捧げるべきです。適切な場所を探すべきです。
転アルバイトは消極的な「逃げ」ではありません。適切な場所を探すための積極的な「攻め」です。
(大事なことなので2回言いました)
大丈夫です。投げ出してください。あなたが責任を感じる必要はありません。平気で法を犯して労働力を搾取しようとする大人たちの責任です。
その他にも心配に思ってしまい、なかなか一歩を踏み出せない人もいるかもしれません。ですので、以下の5つのテーマで、不安に思っているあなたの背中を押したいと思います。
1,すぐに辞めてしまうのは甘えではないだろうか
「バイトが辛い。」と誰かに相談すると、「もうちょっと頑張ってみるべきだ。」や、「何事も慣れるまでは大変なものだ。」というアドバイスを受けるかもしれません。
それらのアドバイスは間違いではありません。辛いことに耐えたあとに得られることも多いからです。
ただ、ブラックバイトの場合は話は別です。ルールを守らない組織の下で働いて、果たして得られるものはあるでしょうか。勤務初日に見切りをつけてしまっても良いくらいです。 「石の上にも三年」といいますが、どの石の上で三年耐えるべきかはよく考えるべきです。
2,別のところに行ってもブラックではないか
私は正規雇用・不正規雇用合わせて5つの塾で働きましたが、ブラックだったのは1つだけです。他の塾では気持ち良く働けました。
大丈夫です。ホワイトな塾はたくさんあります。今の周りの状況だけを見て、「どこも同じだ。」と思わないでください。
あなたは実際にブラックアルバイトを頑張ってきたのです。次のアルバイト探しのときには、ブラックバイトセンサーの感度を最大にして臨みましょう。
私がブラック企業から転職した時の経験を踏まえて、少しだけアドバイスをします。参考にしてください。
「雇ってもらう」と思わないこと
バイトの面接に「受かる」という表現がありますが、「受かる」というのは適切な表現ではありません。なぜなら、面接というのは企業があなたを評価する場でもあるのですが、あなたが企業を評価する場でもあるからです。 ですので、面接で「合意する」というのが適切な表現です。
求人を眺めてみて、実際に面接を受けてみて、あなたのブラックバイトセンサーがビビビッときたら、あなたからお断りしてください。
丁寧なお断りの連絡をする必要はありますが、断る理由を聞かれても答える必要はありません。「一身上の理由」で大丈夫です。 中には、「企業からの採用の申し出を断るなんて常識がない。」なんて言われるかもしれません。そんな事を言う人の方が常識がないので、気にしないでください。常識のない大人って、あなたが思っている以上に多いものですよ。
お互いに納得したら契約を結ぶ
「面接中に給料や待遇の話をするのは非常識」なんてことを言う人もいますが、これは嘘です。もちろん、給料や待遇以外は興味がありませんという態度は失礼です。
ですが、一般常識で考えれば、条件が曖昧なまま契約を結ぶということは非常に危険です。
アルバイトの雇用契約というのは、いわゆる「契約」です。例えば、月3万円稼いで2年間アルバイトを続けるとしましょう。この2年間で支払われる給料は72万円です。 つまり、あなたは72万円分の自分の時間を売る契約を結ぼうとしているのです。大きな契約です。細部をチェックするほうが常識的と言えるでしょう。
企業から「この人は細かいことを気にする人だから嫌だな。」と思われて、不採用になってしまうかもしれません。それでも良いのです。
企業から「この人は細かい部分まで気をつける良い人だ。」と思われて、採用されるかもしれません。その方が良いじゃありませんか。
あなたが「ここで働きたい」と思い、企業が「あなたにここで働いてもらいたい」と思い、お互いに納得できたら、合意のもとに契約を結べばよいのです。
とはいえ、実際にはお互いが100%納得することはありません。「絶対に譲れない条件」や、「譲ってもよい条件」を事前に決めておくと良いです。
3,給料が急に0円になったら厳しい
転アルバイトをするにしても、来月の給料が0円になってしまったら厳しいかもしれません。そういった場合は、今のアルバイトを辞めずに転アルバイト活動をすると良いです。次のアルバイトが決まってから、今の職場に「辞めます」と伝えれば良いです。 よっぽど口を滑らせなければ、今の職場に転アルバイト活動していることがバレることはありません。
ただし、その場合は注意すべきことがあります。今のアルバイトを辞めるための期間が必要ということです。一般的には、アルバイトを辞める1ヶ月前には意思表示をすると、円満に話が進むと言われています。法律上は2週間前にまでに意思表示をするとなっています。
ですので、アルバイトの切り替えに2週間から1ヶ月程度かかります。そのことを、新しいアルバイト先に納得してもらう必要があります。
ブラックバイトの中には、「辞めるときは3ヶ月前には言ってね。」というようなことを言われることもありますが、守る必要はありません。そもそもルールを守っていないのはブラック企業の方です。ブラック企業のメチャクチャなルールを守る義理はありません。
4,自分が抜けたら周りに迷惑がかかるのではないだろうか
責任感の強いあなたは、「自分が辞めたら一緒に働いている仲間に迷惑がかかってしまう。」とか、「自分が辞めたら授業が回らなくなってしまう。」と、思ってしまうかもしれません。
ですが、それはあなたが考えるべきことではありません。それは教室を運営する側の責任ですし、塾のオーナーの責任です。
これは少し悲しい言い方ですが、ブラックバイトにおいては、あなたの代わりはいくらでもいます。その塾で人手が足りていないのは、経営者が金をケチっているからです。本気で塾運営がヤバくなれば、あいつらは金をかけて人を雇います。 それで雇われた人が、ちゃんとあなたの代わりをやってくれます。あなたは、あなたのことをしっかりと評価してくれる場所で働くべきです。
5,今の生徒を見捨てることになるのではないか
塾講師という仕事に誇りを持っているあなたにとっては、現在担当している生徒を見捨てることになってしまうことが一番キツいことだと思います。 自分を信頼してくれる生徒は、本当に本当にかけがえのない生徒ですもんね。
ですが、後ろ髪を引かれても、その後ろ髪を切り落とす覚悟でブラックバイトを辞めるべきです。生徒も大事ですが、あなた自身も大事だからです。 あなたのその優しさと情熱は、新しい塾でこれから出会う、もっと多くの生徒のために捧げてください。
ブラックバイトで心に余裕がないと、良い仕事はできません。心に余裕を持って仕事に取り組めば、より良いパフォーマンスを発揮できます。 あなたが良い職場に出会うことが、より多くの子どもたちに貢献する結果となるのです。
今の生徒とお別れすることになるのは、あなたのせいではありません。ブラック企業のせいなのです。
もしかすると、「生徒を見捨てるなんてとんでもない。おまえは自分のことしか考えてないのか。」と、ブラック企業の社員に言われるかもしれません。
そんな言葉は1mmも気にする必要はありません。悪いのはブラック企業です。あなたに責任はありません。
まとめ
それでは、ブラックバイトかどうかを判断する6つのポイントと、転アルバイトする前の5つの心配事を振り返ります。
私がブラック企業で働いている時に来てくれていたアルバイトの大学生たちは、本当に素晴らしい人たちでした。彼ら・彼女らの活躍が正当に評価される場を与えてあげられなかったことは、本当に悔やまれます。
彼ら・彼女らであれば、どこで働いても高く買ってもらえるでしょう。
あなたの真摯さと責任感を正当に評価する企業はたくさんあります。それをブラックバイトに搾取されることは、あなたのみに留まらず、日本全体の損失だと思います。
勇気を持って、一歩を踏み出してください。その結果として、あなたの生活が明るいものとなったのならば、私はとても嬉しいです。
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