【塾講師】ブラック企業の教室長として働いた話

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「今働いている会社はブラック企業ではないだろうか。それとも、自分が甘えているだけなのだろうか。」
そう思っている人は多いのではないでしょうか。

ブラック企業で働いていると、だんだんと判断がおかしくなってきます。私もブラック企業で働いていた当時は、「ちょっと仕事がキツいけど、これくらいはブラックとは言わないな。まあ、グレーかな。」と思っていました。今から振り返ると正真正銘のブラック企業です。

今回は、私がブラック企業の塾で約2年間、教室長として働いていた時のお話をします。あなたの職場がブラックかどうかの判断の参考にしてください。また、転職すべきかどうかの判断としても使ってください。

今回お話する内容は、以下の8個です。

8個のテーマ
  1. 週休1日未満
  2. 常にアルバイト講師不足
  3. サービス休日出勤
  4. 無給の研修は午前中
  5. 月に一度の校長会議
  6. 高校は自分の目で見に行く
  7. 講習期間は地獄
  8. 心療内科に行く

心や体を壊す前に転職してください。 私はそのブラック企業から別の塾に転職して、年収は100万円近くアップしましたし、年間休日は60日くらい増えました。控えめに言って人生が変わりました

この記事があなたの判断の参考になればとても嬉しいです。

1,週休1日未満

休日は週に1日。日曜日だけです。月に1回か2回模試があり、模試の日は出勤です。

校舎に社員は私1人しかいないため、休めるのは校舎がお休みの日だけです。毎月29日以降は休校日なので、理論上は月末に少し休みが取れます。「理論上は」ですね。詳しくは後述します。

正月やお盆を合わせても、年間休日は50日~60日くらいだったと思います。

休みが少ないと、家族や友人に会えなくなります。私はもともとは休日に出かけることが多く、家にいることは少ない方でした。しかし、休みが少ないとたまの休みは家でゆっくりしたいと思ってしまい、どんどん孤独になっていきます。

また、体を動かす時間がなくなるため、体重がモリモリ増えました。さらに、ストレスで食べる量も増えて体重がモリモリと増えました。

2,常にアルバイト講師不足

社員だけでなくアルバイトもブラックだったため、常にアルバイト講師が不足していました。ブラックバイトのお話は、「ブラック企業でブラックバイト塾講師を雇ってた話」という記事で詳しくお話しているので、もし良ければそちらの記事も覗いてみてください。

働き始めて最初の1ヶ月は引き継ぎ期間ということで、前任の社員と一緒でした。その社員が辞める時期と重なって、アルバイトの講師が1人辞めることになっていました。

その時点での授業の時間割を見ると、どう見ても木曜日の16:30スタートの授業が成立しません。この時間はアルバイトが1人も来られず、私1人しかいません。生徒は4人います。その塾は個別指導の塾で、1:3の授業です。どう計算しても授業が成立しません。
このことについて前任者に相談すると、なかなかにすごい答えが返ってきました。

夏期講習まであと1ヶ月半。それまでは、「急遽講師が来られなくなってしまったので、授業日を変更してほしい」と保護者にお願いして、講師が用意できるコマに移動する。対象者は4人いるから、順番にお願いをすれば1人当たり2回ほど変更すれば乗り切れる。9月以降のことは夏期講習が終わるまでに考える。

とのことでした。ヤバすぎです。ヤバすぎです。それくらいアルバイト講師は常に足りませんでした。

塾の教室長は、教室運営や生徒募集が主な仕事になります。一般的には、アルバイト講師が授業をしてくれている間に、教室長はそういった仕事をこなすことになります。

さて、アルバイト講師がいなければ自分で授業をすることになります。実際、私は全コマ授業に入っていました。すべての授業コマをこなし、教室運営もして、生徒募集もしていました。到底勤務時間内に仕事は終わりません。しかし、残業代は出ません。そう!サービス残業です!

勤務は14:00スタートなのですが、朝10時頃には出勤し、教室運営業務をこなします。そして、夕方からは授業です。帰りは終電です。給料は手取り約16万円。ボーナスはありません。残業代は出ません残業代は出ません(2回言いました)。

この状況でも、「時間内に終わらないのは、自分が仕事に慣れていないせいだ。自分の仕事が遅いせいだ。」と思っていました。無知って怖いです。

3,サービス休日出勤

サービス残業をしても仕事が終わらないので、サービス休日出勤もしていました

「今度の日曜日は模試も授業もないから、集中して教室業務がこなせる!やったね!」と思っていたの、今考えると怖いです。

当時は、「このままでは明日の授業ができないかもしれない!」と思うほど、教室運営が切羽詰まっていました。そのため、1日誰にも邪魔されずに教室運営に集中できる時間が「癒やし」とさえ感じていました。

先程、毎月29日以降は休校日と書きました。授業は月4回の契約なので、理論上は28日で全生徒の授業が消化できるからです。しかし、当然月末もサービス休日出勤です。

個別授業は授業時間の柔軟さが売りです。前日までに塾に連絡をすれば、授業日時を振替えることができます。体調不良になってしまった場合も、授業日時の振替えができます。

しかし、前述の通りアルバイト講師が足りないため、振替えられる空きコマがないのです。「であれば、休校日に振替えて、自分で授業をすればいいじゃない!」という発想で、月末29日以降にも授業が入ります。

さらに、月末には月締めの報告書作成業務がありました。営業報告とか各生徒の授業料引落し金額の設定とか、細かい数字を入力する業務です。普段からこまめに入力していればそれほど大変な作業ではないのですが、普段はこまめに作業をする時間がありません。よって、月末にまとめて取り組むことになります。

本気で頑張れば1ヶ月に4日くらいは休日が作れるといった感じでした

4,無給の研修は午前中

先程、引き継ぎ期間が1ヶ月あったと書きましたが、お互いに業務で手一杯でまともな引き継ぎはありませんでした。本当に何もわからない状態でポーンっと一人投げ出された状態でした

ある日、入塾を検討したいという方が突然来ました。しかし、私は入塾手続きの手順も、塾の料金システムも知らないのです。塾の年間スケジュールも知りませんし、年間カリキュラムも知りません。その日はパンフレットなどの資料を見ながら説明して、お茶を濁しました。

わからないことは自分で調べるしかないので、教室のいたる所に散らばっている資料を探して勉強しました(前任者は片付けられない人でした)。パソコン内に散らばっている資料を探すと、いろいろなマニュアルも見つかりました(前任者はパソコン内も散らかっていました)。

とにかく時間がない中、サービス残業やザービス休日出勤を駆使して勉強しました。そうして1ヶ月程経ったある日、「研修をします。」という連絡がありました。そう、今更です。

それでも研修はありがたかったです。研修してくださった方も、お忙しい中資料などを作って教えてくれました。ただ、研修はもちろん無給です。おそらく研修してくださった方も無給だったと思います

午後からは自分の教室を開けなければならないので、研修は午前中に行われました。その日はいつもやっていた午前中の教室業務ができないため、すごく大変でした。

5,月に一度の校長会議

月に一度、各教室の教室長が集まる「校長会議」が行われました。もちろん午前中です。もちろん無給です

校長会議というと教育のことや授業のあり方についての会議かと思われがちですが、中身は営業報告です。その月の売上報告を共有し、目標売上達成のためにどうするかを報告します。

正直、この校長会議はものすごく勉強になりました。経営、営業、マーケティングに関する多くの知識をここで得ることができました。ただし、自分の営業成績が悪いと憂鬱でしかたがありませんでした。

そして、やはり午前中から教室運営以外のマストの業務が入っているのは辛かったです。

6,高校は自分の目で見に行く

近隣の高校は自分の目で見に行った方が良いです。生徒の志望校のことを何も知らずに指導はできません。学校の雰囲気や登校経路などを、自分の体で感じ取っておくことには非常に重要なことです。

ある日、私は社長にこう言われました。

「午前中は高校を見に行け。」「日曜日は文化祭や体育祭を見に行け。」

社長命令ですが、当然給料は出ません。薄給しか出さないのに無茶苦茶言う社長でした。金出してから言ってほしい。

学校は年に2回程度、塾向けの説明会を行います。これは有効利用すべきです。平日の午前中に行われるので、実際に学校へ行って、生徒がいる状態の学校内の雰囲気を感じることができます。更に、学校の取り組みや、入試情報などをプレゼンしてもらえるため、短時間でその学校のことを知ることができます

更に、ほとんどの学校が、来てくれた塾の先生に図書カード等を渡していました(今もやっているかはわかりません)。

社長は残業代は出してくれませんが、学校は図書カードを出してくれます。図書カードはもらえるし、短時間で学校についての多くの情報を手に入れることができるので、塾向けの学校説明会は本当に重宝しました

7,講習期間は地獄

夏休みや冬休みなどの学校の長期休暇期間は、塾では講習期間となり通常よりも授業数が多くなります。塾にとっては一番の稼ぎ時となり、社員にとっては勤務時間が長くなる地獄の期間となります

私が勤めていた塾は、夏期講習や冬期講習の勤務時間が設定されていませんでした。「運営に問題がないように勤務しろ。」というスタイルです。もともと残業代が支給されないため、勤務時間を設定する必要もないのです。

私は朝8:30には校舎を開けて、夜22:30に校舎を閉めていました。日曜日は休校日ですが、日曜日もモリモリ授業を入れていました。アルバイト講師が足りないため、日曜日に授業をしないとすべての生徒の授業コマを消化できないからです。お盆の3日間だけ休みが取れました。

つまり、1日14時間勤務を休み無しで続けました最高で35連勤しました残業代は出ません残業代は出ません

講習期間中の面白いエピソードを4つ紹介します(面白いとは言っていない)。

エピソード1は、生徒に「え?先生、労働基準法違反じゃないですか。」と言われた話です

中3生は夏休み中は授業自体も多いのですが、授業が終わっても自習のために塾に残る生徒が多いです。つまり、1日中塾にいて、私が1日中ずっと授業をいているのを見ています。

そして、社会の公民の授業で私が「1日8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけない」という労働基準法についての解説をすると、ほぼ必ず先程の言葉が飛んできます。

そんな時は、「1日8時間を超えた場合は、基本給に25%上乗せした賃金を支払うんだよ。」という話をして切り抜けます。残業代出てませんけどね

エピソード2は、忙しすぎてお昼ごはんを食べ忘れるという話です

アルバイト講師が足りないため、講習期間中も当然全ての授業コマで授業をします。教室運営業務はいつやると思いますか?それは、授業前、授業後、そして昼休みです。

忙しすぎる時はお昼ごはんを食べ忘れます。それでも忙しすぎて空腹を感じる暇もありません。夜20時頃になってものすごくお腹が空いてることに気づいて、「そういえば今日お昼ごはん食べてないな。」と思います。そんなことが週1,2回ありました。

エピソード3は、宅配を受け取る時間がないという話です

前述の通り8:30~22:30の間は職場にいたため、宅配便は受け取れません。そのため、Amazonで買い物ができません。私は日常品も含めてAmazonで買い物をしていたので、ものすごく不便でした。

しかたがないから実店舗で買い物をしようとも思ったのですが、通勤時は開店前、帰宅時は閉店後のためお店にも寄れない始末でした。

エピソード4は、ヤバいセールスに「え?それじゃあブラックじゃないですか。」って言われた話です

夏期講習期間が始まる直前の貴重な休日の日に、インターホンが鳴りました。宅配かと思い、うかつにも私はドアを開けてしまったのです。それがセールスでした。

地域の調査をしていて、住宅に関するアンケート調査を行っているという名目でやってきました。所属を聞いてもはっきりと答えません。名刺を要求しても持っていないといいます。絶対怪しいヤツです。

自分の情報を話したくなかったので、「今忙しいから帰ってくれ。」と言いました。すると相手は、「では、また来るので忙しくないのはいつか教えてくれ。」と言います。

翌日から夏期講習期間だったため、朝も夜も仕事だし今月来月は休みがないと正直に答えた時に、先程の言葉が飛んできました。

相手は、私が適当な嘘を言って追い払おうとしていると思ったのでしょう。それで、「それじゃあブラックじゃないですか。」と言ったのだと思うのですが、こっちからしたら「知ってるわ!」って言いたくなる瞬間でした。

8,心療内科に行く

勤め始めてから1年程経った頃から、上手く眠れなくなりました。激務で体は疲れているのですが、明日やらなければならない仕事、今週中に終わらせなければならない仕事などが頭の中をグルグル回って眠れません。

睡眠不足で日中は集中力が続かず、仕事でミスを連発しました

これはさすがにマズいと思い、思い切って心療内科に行きました。心療内科に行くのって、最初は勇気がいるんですよ。「え?それくらいで病院来るんですか?」って言われたらどうしようって、不安を感じたりします。

でも、心療内科に行くべきかどうか迷ったら、絶対に行った方がいいですよ。ちゃんとプロに話を聞いてもらって、プロに判断してもらうことはとても重要です。

病院でいろいろなアドバイスをもらい、睡眠薬をもらい、治療を開始しました。薬で解決するのではなく、薬に頼らなくて良くなることを目指す方針で治療することになりました。良いお医者さんに当たったと思いました。

お医者さんからのアドバイスの通り、社長に直接「心療内科に行って、お医者さんに軽度のうつ状態であると診断された。」と話しました。会社のせい、ひいては社長のせいで病院に行くことになりましたが、治療費は出ませんでした

ただ、その頃からはかなり吹っ切れて、できないものはできないと社長に言うようになりましたし、できない業務はできないとバッサリ切ってしまうこともできるようになりました。

サービスの質が落ちても経営者の責任です塾の評判が落ちても経営者の責任です。生徒や保護者のことを考えると心が痛みましたが、背に腹は変えられませんでした。

辞めるときも、今まで使えなかった有給を全部使って辞めましたし、「少しでも良いので、残業代を支払ってください。」と社長と交渉しました。残業代は超絶僅かですが支払ってもらいました。

転職して引っ越すタイミングで、薬も病院も卒業できました。お医者さんに相談したことがすべての転機になったと思います本当に良いお医者さんに出会ったと思います

まとめ

以上、ブラック企業での私のエピソードです。振り返ってみましょう。

8個のテーマ
  1. 週休1日未満
  2. 常にアルバイト講師不足
  3. サービス休日出勤
  4. 無給の研修は午前中
  5. 月に一度の校長会議
  6. 高校は自分の目で見に行く
  7. 講習期間は地獄
  8. 心療内科に行く

ブラック企業で学んだこともたくさんあります。それは今でも役に立っています。でも、心や体を悪くしてしまう前に逃げるべきです。あなたの職場はブラックではありませんか?私のエピソードを判断の参考にしてもらえたら嬉しいです。

ブラック企業に勤めていると信じられないかもしれませんが、世の中にはブラックではない企業はたくさんあります。転職や独立をするとなると不安が大きいかもしれません。それでも、あなたが正当に評価される場所を探すべきです。

私はブラック企業から転職をして、人生は意外と簡単に変えられるものだなと思いました。苦しんでいる人は、勇気を持って一歩を踏み出してみてください!

私がこのブラック企業から転職した時の話は、「37歳でブラック企業の塾から転職した話」という記事でお話ししています。もし良ければそちらも読んでみてください。

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