中学受験に必要な算数の基本テクニックを紹介しています。中学受験算数の独特な解法は、小学校では教わらない「裏技」的なものが多いので注意が必要です。
例題を使って、コツやポイントを押さえながら、なるべく丁寧な解説を心がけました。皆さまの理解の手助けとなれば嬉しいです。

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図形の周上を円が転がる問題

図形の周上を円が転がるとき

中学受験の算数では、なぜか図形の周上を円がゴロゴロと転がっていき、その円が通ったあとの面積を求めたり、中心が通ったあとの長さを求めたりします。
図形の周上を毎秒1cmで動く点よりもはるかに意味不明ですが、ボール転がしゲームだと思えばきっと楽しいです(←フォローしきれない)

直線上を転がっている間は、真っ直ぐに進むので簡単です。問題は、角の部分でどのように動くかです。 図形の外側を転がるか、内側を転がるかで変わってきます。逆に言えば、「外側を転がる」か「内側を転がる」かの2パターンしかありません。
図形の回転移動のときと同じように、おうぎ形が登場しますので、公式を載せておきます。

おうぎ形の弧の長さ

=直径×円周率×中心角
360°

おうぎ形の面積

=半径×半径×円周率×中心角
360°

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円が図形の外側を転がるとき

円が図形の外側を転がるとき、角の部分は、円が通ったあとも、円の中心が通ったあともおうぎ形になります。

(例題1)

たて10cm、横20cmの長方形の外側を、半径2cmの円が転がって1周します。


(1)円の中心が通ったあとの長さは何cmでしょう。

(2)円が通ったあとの面積は何cm²でしょう。

(1)円の中心が通ったあとの長さは何cmでしょう。

まずは、円の中心が通ったあとを書きこんでみましょう。

角のおうぎ形4つを合わせると、1つの円になります。

求める長さは、水色の直線部分(4本)と、緑色のおうぎ形部分(円1個分)を合わせた長さです。

よって答えは

72.56cm

(2)円が通ったあとの面積は何cm²でしょう。

まずは、円が通ったあとを書きこんでみましょう。

角のおうぎ形4つを合わせると、1つの円になります。

求める面積は、水色の長方形(2つ)と、青色の長方形(2つ)と、緑色のおうぎ形(円1個分)を合わせた面積です。

よって答えは

290.24cm²

円が図形の内側を転がるとき

円が図形の内側を転がるとき、角の部分は、円が通ったあとの隅っこはおうぎ形に、内側はポッキリと折れ、円の中心が通ったあとはポッキリと折れます。

(例題2)

たて10cm、横20cmの長方形の内側を、半径1cmの円が転がって1周します。


(1)円の中心が通ったあとの長さは何cmでしょう。

(2)円が通ったあとの面積は何cm²でしょう。

(1)円の中心が通ったあとの長さは何cmでしょう。

まずは、円の中心が通ったあとを書きこんでみましょう。

直線だけなので楽勝です。内側を回った分、長方形の辺よりも短くなっているので気をつけてください。

18×2+8×2=52

よって答えは

52cm

(2)円が通ったあとの面積は何cm²でしょう。

まずは、円が通ったあとを書きこんでみましょう。

この場合は、全体の面積を求めてから、いらない部分の面積を引く方法が一番楽です。
真ん中のいらない部分は長方形なので簡単に求められます。隅っこの部分を考えてみましょう。 隅っこの4ヶ所を集めて合体させてみます。

このように四隅の部分を合体させると、正方形の中に円が入っている形になります。なので、四隅のいらない部分の面積は、

2×2-1×1×3.14=0.86cm²

求める面積は、大きな長方形から、四隅の緑色の部分と、オレンジの長方形を引いた面積です。

よって答えは

103.14cm²

おうぎ形の公式を使うと言っておきながら、今回は全く使いませんでしたごめんなさい。
今回は長方形の周りを転がりましたが、いろいろな図形の周りを転がることがあります。 どのような図形でも、「内側を曲がった」か「外側を曲がった」かの2パターンですので、あわてずに問いてください。
それでは、図形の周上を円が転がる問題をまとめます。

まとめ

図形の周上を円が転がる問題を解く時は

  1. 図形の外側を曲がったときは、円の中心が通ったあとはおうぎ形、円が通ったあともおうぎ形。
  2. 図形の内側を曲がったときは、円の中心が通ったあとはポッキリと折れ、円が通ったあとは隅っこがおうぎ形、内側はポッキリと折れる。
  3. 円の中心や、円が通ったあとを図に書きこんで、長さに気をつけながら、面積や長さを求める。

ここまでで図形の移動シリーズはおしまいです。次は表面積を求めます。

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